プロジェクトストーリー PROJECT STORY
PROJECT STORY
プロジェクトストーリー
プロジェクトストーリーでは
プロジェクトの取り組み事例を
対談形式でご紹介します。
-
[プロジェクト名]「コンセプト確立プロジェクト」
「教育課程の見直しプロジェクト」箱崎浩二さん(学校法人カナン学園 三愛学舎 事務長)
プロジェクトを通じて生徒は、教職員は、そして学校はどう変わったのか?
三愛学舎は1978年の開校以来、独自の「生活即教育」を軸に、子どもたちの「生きる力」を育んできた私立の特別支援学校です。
しかし近年、少子化や県立特別支援学校の新設など、環境は大きく変わり、三愛学舎の良さが社会に十分伝わっていないという課題がありました。
「三愛学舎を、ひと言で伝わる学校にしたい。」そんな思いから、2022年にクエストリーとのプロジェクトがスタート。コンセプトづくりから教育課程の再編まで、学校の内側に向き合う二年間でした。
その過程で、生徒の姿が変わり、教職員の意識が変わり、学校そのものが少しずつ「開かれた存在」へと動き始めています。
今回は、その二年間をプロジェクトの中心メンバーである箱﨑浩二さんと櫻田(クエストリー)が振り返り、「生徒は、教職員は、そして学校はどう変わったのか」 を語り合います。
プロジェクト前の課題:閉じた状態の学校
以下 H = 三愛学舎 箱﨑浩二さん S = クエストリー 櫻田弘文
まずプロジェクトの前に抱えていた課題について聞かせてください。どんな問題意識があったのでしょうか。
その頃、感じていたのは、やはり経営的な懸念ですね。私たちは私立ですから、生徒が集まらなければ学校は続きません。ところが、盛岡や二戸の圏域で県立の特別支援学校が立て続けに新設され、生徒の選択肢が急速に広がった
確かに、競争環境がガラッと変わる時期でしたね。
そうなんです。そしてもう一つは、「学校の特徴が社会に伝わっていない」ことでした。開校以来のユニークな教育はあるのに、外から見たときに、「あの学校はこうだ」と一言で説明できる旗がなかった。
理念はあるのに、言葉になっていない。現場とつながっていない。
加えて、教職員の世代交代も大きな課題でした。創設期の想いや背景を知らないまま、日々の仕事がルーティン化してしまっていた。「なぜこの教育をするのか」が薄れ、学校が閉じた状態になっていたと思います。
プロジェクト開始……特徴を「旗」にする挑戦
最初の意見交換のミーティングの時に、印象的だったのは箱﨑さんが、「社会から見て、ひと言で説明できる学校にしたい」とおっしゃったことでした。
まさにそこがスタートでした。食の取り組みもあるし、生活即教育の思想もある。でも、抽象度が低いまま伝えると、「毎日、お昼の食事の調理をしている学校」にしか見えない。本来の価値を社会につなげる言語化が必要だと痛感していました。
そこで「コンセプトをつくりましょう」と提案し、プロジェクトが始まったわけですね。
コンセプト確立と教育課程の再編 ……「4つの力」が生まれるまで
プロジェクトの中核は、三愛学舎の「選ばれる理由=コンセプト」を明確にすることでした。
はい。結果として生まれたのが、「心にまき続ける、“希望の種”を」というコンセプトステートメントです。そしてそれを現場の教育につなぐために設計したのが、三愛学舎の教育のフレーム「4つの力」でした。
「つながる」「感謝する」「働きかける」「楽しむ」の4つの力ですね。これは確立できたことは本当に大きかったですね。理念で終わらず、現場で使える共通言語になったと思います。
そうなんです。これまでは資料も文章が多く、何を伝えたいのかがわかりにくかったのです。4つの力をビジュアル化したことで、教職員同士、生徒との対話、保護者への説明が、すべてがシンプルに揃いました。そして次のステップが教育課程の再編でした。
「言葉をつくる」だけでは行動が変わらない。仕組みにつなげてこそですね。
そうです。コンセプトに基づいて時間割を組み替え、日々の活動が「希望の種 を育てる」方向に向くようにしました。ここから、生徒の変化が加 速したように感じます。
生徒が変わった……「選ぶ」ことで責任と主体性が芽生えた
最初に変わったのは生徒だ、とおっしゃっていましたね。
そうです。とくに大きかったのは、選択できる授業の導入でした。「自分で選んだ」という事実は、生徒にとって大きな責任と主体性を生むんですね。
選んだから、やる。やるから、楽しくなる。楽しいから、続ける。
まさにその通りです。活動に「自分ごと」が入り、生徒の表情が変わりました。また、Re+(レタス)プロジュエクトや学園祭、地域のマルシェなど、学校外とつながる活動も増え、生徒たちの視野が一気に広がっていきました。
教職員が変わった……「変化していい」という価値観の転換
生徒が変わると、教職員も自然と変わる。これは印象的でした。
そうですね。もともと学校の中には、“変えることは悪いこと”という空気がありました。でも、コンセプトや四つの力が共通言語になり、生徒の変化が目に見える形で現れたことで、教職員の意識が大きく変わりました。「変えていいんだ」「良くするために動こう」「自分ごととして判断しよう」若手の自己規制も薄れ、少しずつ声が出るようになってきました。
視座が上がり、視野が広がり、視点が増えた。まさに組織が動き出す瞬間でしたね。
学校が変わった……社会と接続する「開いた学校」へ
二年間ご一緒して、学校全体の空気が変わったと感じます。
はい。これまでは学校の内側で完結しがちでしたが、今は地域との協働が自然になってきました。マルシェ、地域イベント、食の活動、保護者との連携……生徒の学びが社会とつながり、三愛学舎の存在感が地域に広がっているという実感があります。
閉じた学校から「開かれた学校」へ。これは大きな転換ですね。
これからの三愛学舎 ……進化し続ける学校へ
最後に、今後の展望を教えてください。
教育課程は完成形ではなく、常にアップデートしていくものだと思っています。コンセプトを軸に、学校を進化させていきたい。そして何より、「心にまき続ける、“希望の種”を」というコンセプトステートメントが、これからの三愛学舎の歩みを導くと信じています。これからの三愛学舎が、僕自身とても楽しみです。
この二年間で、変化の兆しがしっかり現れましたね。こちらも楽しみにしています。今日はありがとうございました。

