ブランディングメール BRANDING MAIL
ブランディングメール 2023年5月
- 1日 4244【意味を変える】
- 今日から5月、風薫る気持ちの良い季節です。GWは仕事でしょうか、お休みでしょうか。どちらも機嫌よく過ごしましょう。今月のテーマは「意味を変える」です。「何それ?」と思われるかもしれませんが、事例を交えて解説します。「意味づけ」で価値を大きく高めることができます。
- 2日 4245【商品のイノベーション】
- 商品やサービスの品質やデザインを変えずに、商品の「意味」を変えることで、その価値を飛躍的に高める、これを「意味のイノベーション」と呼びます。イタリアミラノ工科大学教授のロベルト・ベルガンティ氏の著書『突破するデザイン』で広く知られるようになりました。
- 3日 4246【ロウソクの意味】
- 電灯が発明され、ロウソクは停電時の非常用備品になりました。しかし、LEDの時代になったいまでもロウソクは売れ続けています。キャンドルと呼ばれ、特別な時間を演出するために使われているからです。新しい「意味」が加わったことで、新しいニーズが生まれた好事例ですね。
- 4日 4247【一枚の名画とネコ】
- クロード・ルルーシュ監督の『男と女』(もしかすると違うかも)だったと思うのですが、「火事のときに一枚の名画とネコのどちらを持ち出すか」というセリフがあります。映画ではネコという答えでしたが、大切にしているものの価値は必ずしも値段とは連動していません。
- 5日 4248【インテリアフレグランス】
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ある取引先の展示会の企画で「エステバン」というインテリアフレグランスを使いました。実はこれは青雲や毎日香などのお線香で知られる「日本香堂」のブランドです。クエストリーでも毎日使っていますが、見た目はお線香と同じです。しかし、使う意味が異なります。
https://www.esteban.co.jp/ - 6日 4249【使うことの意味】
- 人は商品やサービスの機能だけを求めているわけではありません。自分にもたらしてくれる「意味」を手に入れたくてお金を払います。前者はより良いものを求めますが、後者が求めているのは自分が感じる心地よさや楽しさです。両者の購入動機はまったく異なります。
- 7日 4250【クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ】
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1879年創業のハンカチーフメーカーの「ブルーミング中西」が事業展開している「クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ」。そのコンセプトは「自分のための大切な一枚」「大切な人に贈りたい一枚」。手や汗を拭くハンカチーフとは使う意味が異なります。
https://classics-the-small-luxury.com/ - 8日 4251【Macの起動音】
- Macが出始めの頃です。使ってみると、不具合があったり、フリーズしたりとなかなか厄介なPCでした。しかし、Macが大好きな人がこう呟くのを耳にしました。「Macが立ち上がるときの起動音が好きなんだよなあ」。機能や品質を超えて、Macに愛着という意味を見出しているとしか思えません。
- 9日 4252【ベンツのドアを閉めたときの音】
- 昨日のMacの起動音と同じ事例ですが、車好きの友人は「ベンツのドアを閉めたときの音は上品で高級感がある」と語ります。国産車と違うらしいのです(車には興味がないのでわかりません)。構造的な違いもあるのでしょうが、やはり意味に対する価値を感じます。
- 10日 4253【特価だから買うのでしょうか】
- 安さを前面に打ち出した特価品の品揃えに熱心な店があります。しかし、必ずしも安さが購入動機になるとは限りません。「自分の暮らしを快適にする」「自分の好みに合う」……これらが前提にあり、自分の予算の範囲内だから買おうとするのです。意味が購入動機になることをお忘れなく。
- 11日 4254【顧客の目線で考える】
- 意味のイノベーションを生み出すには「顧客の目線で考える」こと。機能や品質や価格だけでは動きません。よくある「○○さんが作った野菜」ではなく、「クラシック好きの○○さんがモーツアルトを聴きながら育てた野菜」ならば、クラシックと野菜好きの人は興味を抱きます。
- 12日 4255【紙コップとフォーク】
- 日清食品の創業者の安藤百福がチキンラーメンをアメリカに売り込みに行ったときのことです。現地の担当者が丼や箸の代わりに紙コップとフォークで食べている姿を見て、カップヌードルの開発を始めました。カップヌードルは安藤百福の顧客目線から生まれた商品なのです。
- 13日 4256【クラシックコンサートの意味を変える】
- クラシックコンサートのイメージは「椅子にきちんと座って聴く」ですが、6月に横浜で開催される「CHILL CLASSIC CONCERT 2023」は、寝ころがって聴いてもよし、小声での会話や飲み物もOK。会場にはリクライニングチェア、ハンモック、クッションなどが用意されています。
- 14日 4257【価値は顧客が決める】
- 商品やサービスに固有的に価値があるのではなく、それがどのように利用されるのかで価値が決まります。つまり価値は顧客が決めるのです。提供者側に求められるのは、顧客の立場に立ち、「顧客のワクワク感を獲得するにはどうしたらいいのか」を考え抜いくことです。
- 15日 4258【無駄の効用】
- 意味を変えることのなかには「無駄」だと思えるものもあります。合理性や効率が重視されると、無駄は排除されます。しかし、この無駄がニーズを生み出します。無駄は言い換えると、余白であり、遊びです。これらが顧客のワクワク感につながります。無駄を歓迎しましょう。
- 16日 4259【顧客ニーズの発見】
- 商品やサービスの意味を変えるときに大事なのが「顧客ニーズ」です。顧客ニーズとは「ある特定の商品やサービスを購入・利用したい」、あるいは「特定の企業や店との関係を大事にしたい」という心理的な動機や無意識のうちに身体が求める動機のことです。
- 17日 4260【動機の背景にあるもの】
- 提供側は商品やサービスの購入をニーズととらえます。しかし、購入側が求めているのは、商品やサービスを通じて得られる価値や利便性です。ここにミスマッチが生まれます。マーケティング事例である「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」はまさにこれを指しています。
- 18日 4261【理想と現実のギャップ】
- 顧客ニーズには「理想と現実のギャップを解消したい」という目的が含まれています。「新しいパソコンが欲しい」の裏側には、「効率よく仕事をしたい」という目的があります。「処理能力の遅いパソコンを使っている」現実とのギャップを解消したいのです。
- 19日 4262【顧客の行動を分析する】
- 「顧客ニーズ」は簡単には見つけられません。どうしたらよいのでしょうか。最も有効な方法は「顧客の行動を分析する」こと。具体的には、商品の購入やサービスの登録に至るまでのプロセスを分析するのです。そこに商品やサービスの意味を変える購入動機が潜んでいます。
- 20日 4263【顕在ニーズ】
- 顧客ニーズの発見で押さえておくべきことは、「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」です。前者は数字の傾向、行動の特性などから発見されるニーズです。しかし、顕在ニーズだけに頼っていては、新しい意味づけはできません。後者の「潜在ニーズ」が極めて大事になります。
- 21日 4264【潜在ニーズ】
- 「潜在ニーズ」とは、顧客が自覚できていない隠れたニーズのことです。データなどの定量分析よりも、顧客の声などの定性情報をていねいに掘り起こすことから見つけ出せます。顧客自身も認識していないニーズの掘り起こしが、商品やサービスの意味を変えるヒントになります。
- 22日 4265【手間が省ける料理】
- 魚屋の大将と主婦の客との会話です。「奥さん、今夜は旦那さんにご馳走してあげなよ、お刺身の盛り合わせはどうだい」「あら、いいわね(お刺身の盛り合わせならば料理の手間が省けるので)いただくわ」。ご馳走料理は顕在ニーズ、手間が省ける料理は潜在ニーズです。
- 23日 4266【観察する】
- 顧客の潜在ニーズを知る方法を紹介します。それは「観察する」「想像する」「質問する」の3つです。人の「行動を観察する」ことは、基本中の基本です。観察で大事になるのは「Why=なぜ」という視点です。「なぜするのか」「なぜ動くのか」、行動の背景にあるものを見つけ出しましょう。
- 24日 4267【想像する】
- 顧客の潜在ニーズを知る二つ目の方法は「想像する」です。観察の事実に基づき、顧客が求めているものを想像し、潜在ニーズの可能性を探ります。思い込みを取り除き、さまざまな角度から想像してください。想像のなかから潜在ニーズの仮説が浮かび上がってきます。
- 25日 4268【感情で物事を判断する】
- 「物語=ストーリー」には商品やサービスの意味を変える力があります。なぜならば、人は感情で物事を判断するからです。生活必需品などではない限り、感情が働きかけて「買う、買わない」が決まります。なぜならば、物語を加えることで共感が生まれるからです。
- 26日 4269【創り手の物語】
- 商品やサービスに物語を添える手法の一つは「創り手」です。「どんな想いで作ったのか」「どんな苦労があったのか」「どれほどの年月や失敗があったのか」……これらを添えることで、商品やサービスの意味が変わってきます。ただし、嘘はダメ、事実に基づく物語が感情を動かします。
- 27日 4270【選び手の物語】
- 「選び手」も商品やサービスに物語を添える手法の一つです。「選び手としての経験はどんなものなのか」「なぜこれを仕入れたのか」「どこが気に入って選んだのか」……これらを添えることで、商品やサービスの意味が変わってきます。選び手の持っている要素を整理してください。
- 28日 4271【使い手の物語】
- 「使い手」も商品やサービスに物語を添える手法の一つです。「どんな風に使っているのか」「どんな体験が手に入るのか」「あの○○○さんも使っている」……これらを添えることで、商品やサービスの意味が変わってきます。売って終わりではなく、使用時の情報を集めましょう。
- 29日 4272【生活者にとっての意味を変える】
- すでに消費市場は成熟しています。スマートフォンのようなイノベーションを起こす商品やサービスはそうそう簡単には作れません。すでに存在している商品の機能や品質を大きく変えなくても、生活者にとっての「意味を変える」ことで売れるようになります。
- 30日 4273【生活者感じている価値=意味】
- 新しい使い方、新しい暮らし方に着目しましょう。そのシーンで感じている「価値=意味」を明確にしましょう。「どのような良さがあるのか」「良さを感じさせているのはどんな要因なのか」……生活者自身は無自覚ですが、そこに意味を見出すのがプロの仕事です。
- 31日 4274【新たな意味へのリニューアル】
- 暮らしに求めるものが変化し、価値観も大きく変わりました。表面的なことに振り回されずに、生活者自身も自覚していない「本当の欲求」を見つけ出しましょう。本当の欲求を知ることが、商品やサービスの「新たな意味へのリニューアル」につながります。